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このページでは【ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣】のキャラクター、 リンダ を解説する。 他の同名キャラクターは【リンダ】を参照。 プロフィール 作品別 関連キャラクター コメント プロフィール リンダ 他言語 Linde (英語) 種族 【人間】 性別 女 職業 魔道士 所属 カダイン 声優 瀬戸麻沙美 初登場 【ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣】 カダインに所属する女魔道士。大司祭【ミロア】?の娘にして、光魔法「オーラ」の継承者。 作品別 【ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣】 11章「ノルダのどれいいちば」に登場。父ミロアを【ガーネフ】に殺されてしまったため、身を隠すためにカダインから男装して逃げ込んでいたが、そこを奴隷商人に捕まってしまう。【マルス】が商人を追い払った後にそういった流れを話し、正体を明かして仲間に加わる。 最初から持っている専用武器「オーラ」が強力でボスキラーとして活躍できる。 本作では女性司祭のグラフィックが用意されていないため、クラスチェンジするとローブ姿になってしまう。 【ファイアーエムブレム 紋章の謎】 第1部 暗黒戦争編9章「ノルダの奴隷市場」で加入。基本的に原作と同じ。力が魔法攻撃のダメージに関わる仕様変更により、「オーラの書」のダメージが更に増えたものの、力の成長率は控え目。 第2部 英雄戦争編2章「マケドニアの反乱」のクリア時に加入。ニーナの頼みで「ファイアーエムブレム」をマルスに届けようとした所、【マケドニア兵】?に捕まってしまっていた。今回はかなり序盤から「オーラの書」や「リザイアの書」で暴れられる。更に星のかけらで力の成長率も補正も可能。各種ステータスを鍛え上げた後、「ほしのオーブ」を持たせれば最強のリザイア地雷キャラとなり、敵はなくなる。お手軽に作れる本作最強キャラと言っても差し支えのない存在。 【ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣】 原作の衣装そのままに士郎正宗によって描き直されたため、かなり色っぽいイラストに。本作のキャラデザインは全体的に批判されがちだが、リンダのイラストは非常に評価が高い。 11章「ノルダの市場」で加入。今回は「オーラ」が専用ではなくなっている。 魔力の個人成長率が20%と最も高い。原作の強キャラ達が弱体化している中、その強さをキープしている数少ないキャラ。 【ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~】 2章「マケドニアの反乱」クリア時に加入。魔力の個人成長率が10%に減ってしまった。女クリスや成長率の底上げがされた【マリーシア】?等、本作ではライバルが多く、魔力がヘタれたらそちらに任せる手も。 【ファイアーエムブレム 覚醒】 配信チーム「暗黒竜と光の剣」で登場。兵種は魔道士。特別なスキルとして「後の先」を習得している。『紋章の謎』のリザイア地雷が評価されたものと思われる。 【ファイアーエムブレム エンゲージ】 マルスの絆の指輪として登場。 【ファイアーエムブレム無双】 DLC第二弾で配信。 魔道士系では唯一の独自モーションが使用されており、覚醒奥義では「リザイア」を放ってHPを吸収できる。 個人スキルは「才覚」。必殺の連撃で覚醒ゲージが回復する。弓、魔法向きのスキル。 【幻影異聞録♯FE】? / 幻影異聞録♯FE Encore 記憶の幻想領域・勇士の間にて、【トムス】?、【ミシェラン】?、ゴードン?と共にボスとして登場。 闘技場の伝説級にも第3戦に出る事がある。 【ファイアーエムブレム ヒーローズ】 通常版 称号 武器 移動 声優 イラスト 光の魔道士 青の魔道 歩行系 瀬戸麻沙美 切符 HP 攻撃 速さ 守備 魔防 35 35 36 14 27 武器 補助 奥義 オーラ共鳴オーラ 献身 なし A B C 速さ3 なし 魔防の鼓舞3 実装日 ★ 入手 分類 2017/02/02 5 英雄召喚 英雄 神装実装 モチーフ イラスト 2020/06/25 アスク王国 宮本サトル サービス初期から実装されている英雄。 専用武器「オーラ」は、自分から攻撃した時、戦闘後、自分の周囲1マスの味方のHPを5回復。(「生の息吹2」と同じ) 初期実装キャラながら魔道士としては完璧な配分のステータスを持つ強キャラ。 ……だったのだが、【ラインハルト】?の襲来で一瞬でその他大勢の青魔に成り下がってしまった。その後に実装された【デューテ】とはステータス配分も被っている始末。 2017/11/28の武器錬成実装で「オーラ」が「共鳴オーラ」に錬成可能となった。効果はデューテのものと同じ。 2018/06/08には「オーラ」の錬成が追加。強化先問わずに基礎効果がターン開始時、周囲1マスの味方の魔法、杖の攻撃+6に変更(「生の息吹2」は削除)。特殊効果の錬成では、魔法、杖の味方が2マス以内にいる時、戦闘中、攻撃・速さ+5の効果。 2019/03/07には「共鳴オーラ」の錬成も追加。基礎効果は変わらない。特殊効果の錬成では、射程1の味方が2マス以内にいる時、戦闘中、攻撃・速さ+5の効果。 2020/06/25には神装も追加された。 配分は強いので魔改造すれば何とか使えるキャラ。 水着版 称号 武器 移動 声優 イラスト 夏の光条 暗器 騎馬系 瀬戸麻沙美 切符 HP 攻撃 速さ 守備 魔防 33 34 35 16 26 武器 補助 奥義 ヒトデ+ 献身 なし A B C 攻撃魔防の大覚醒3 相性相殺3 なし 実装日 ★ 入手 分類 2018/07/10 5 超英雄召喚 超英雄 2018/07/10の水着超英雄召喚イベント「夏、再び」にて実装。 汎用武器「ヒトデ+」は、自分のHPが75%以下で自分から攻撃した時、追撃可能なら自分の攻撃の直後に追撃を行う。(「攻め立て3」と同じ) 配分は攻撃的だが、これと言って見るべきところのないキャラ。使うなら魔改造は必須。 カダイン双界英雄版 称号 武器 移動 声優 イラスト 天涯奇縁の双輝 赤の魔道 騎馬系 瀬戸麻沙美with 大野柚布子 恒星ホリグチ HP 攻撃 速さ 守備 魔防 37 44 45 16 27 武器 補助 奥義 魔継ぐ少女の天球儀 なし 月光 A B C 鬼神飛燕の離撃 速さ魔防の遠影3 守備魔防の紫煙3 双界スキル 自分と同じ出典の味方と、自分自身に【双界効果・刃】、【回避】、「戦闘中、奥義発動カウント変動量+1(同系統効果複数時、最大値適用)」の状態を付与(1ターン) 実装日 ★ 入手 分類 2023/01/10 5 超英雄召喚 双界英雄 2023/01/10の超英雄召喚イベント「カダインの大司祭?」で実装。双界相手はサラ。 専用武器「魔継ぐ少女の天球儀」は、ターン開始時、周囲2マス以内に味方がいる時、自分と周囲2マス以内の味方に「自分が移動可能な地形を平地のように移動可能」、【見切り・追撃効果】を付与。 自分から攻撃した時、または、周囲2マス以内に味方がいる時、戦闘中ALL+5、ダメージ+速さの20%(戦闘前奥義も含む)、かつ、戦闘中、敵の奥義意外のスキルによる「ダメージを○○%軽減」を半分無効(無効にする数値は端数切捨て) 双界スキルは回避と奥義カウント変動量+1を付与できる。 【大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL】 スピリッツが登場。アートワークは『新・暗黒竜と光の剣』のもの。 関連キャラクター 【ミロア】? 【ニーナ(ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣)】 コメント 名前 全てのコメントを見る?
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第11回は久々の前後編でお送りします。テーマは「ネットゲーム」! プレイしていて抜群に楽しいネットゲームではありますが、その楽しさの影には常に「コミュニケーショントラブル」のリスクがついてまわります。嫌な目にあったりすることもあるけれど、それでもやっぱり誰かと思い出を共有できるネットゲームはとても楽しい! そんな話をしていきます。後編は主に「ネカマ」の話。 47:52 <<第011回「ネットゲームの光と影」その1 第012回「インフルエンザにご用心」>> 引越しでネット不通 カフェでアップロード ピロウズ ヤマナカサワオ ポイズンロックンロール 1人で喋る かいとわたるにも1人で喋らせてみたい キャラメイク イメージ 設定 ネカマ 外人プレイヤー 日本人と海外プレイヤーの違い オフ会 キャラとリアルがリンクする 女性声に変換 変身願望 <<第011回「ネットゲームの光と影」その1 第012回「インフルエンザにご用心」>> バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、メールでお問い合わせください。
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前ページ次ページゼロの英雄 それは無情なまでに蒼く晴れ渡った、春の日の午後のことだった。 吸い込まれそうな青空の下で行われているのは、春の使い魔召喚儀式。 言うまでもなくメイジのこれからの人生を大きく左右する重大なイベントのただなかで、 私はもう何度目になるか分からないサモン・サーヴァントの呪文を唱えていた。 「我が呼びかけに応えし、使い魔を召喚せよ!」 ぼかん また爆発した。 何度やっても、これだ。 どれだけ頑張っても、どれだけ努力しても、帰ってくるのは人を馬鹿にしたような爆発だけ。 お前はコモンマジックすら使えない落ち零れだと、突きつける無慈悲な宣告だけだった。 周りのギャラリーが囃し立てるなか、『ゼロ』でしかない自分に悔しさで一杯になる。 それでもくじけてなんてやらないんだから! 「召喚せよ!」 また一振り、だがやはりボンと音を立てて爆発が響くばかり。 唇を血が出るほど噛み締めながら、それでも私は諦めず何度も何度も繰り返す。 一度で駄目なら二度、二度で駄目なら三度。 渾身の精神力を込めて、周りであざ笑う奴らを見返せるような使い魔に向かって呼びかける。 だが帰ってくるのはやはり爆発――それでもどうしても私は諦められなかった。 諦めると言うことは自分自身を ゼロ だと認めること。 貴族に相応しくない存在だと認めること。 そんなことは絶対に出来ない。 出来るはずが、ない…… ―――だって、魔法を使えない貴族である私を愛してくれる人なんて絶対にいない。 いやそもそも、魔法が使えなければ貴族でさえないんだから…… けれども絶望はいつだってすぐにやってくる。 呆れ顔のコルベール先生にこれで最後にしなさいと言われ、豆だらけの腕で渾身の力を籠めて杖を一振り。 それも何時ものようにただの爆発となって消える…… 「残念でしたねド・ヴァリエール。それでも貴女ならきっといつか……」 白々しい型どおりの慰めの言葉、それが一層私の惨めさに拍車を掛けた。 周囲の人間が ゼロ だ、やはり ゼロ だと囃し立てる。 それが悔しかった。 それが悲しかった。 その罵声は私だけではなく私が背負ったものにまで馬鹿にする言葉。 けれど魔法が使えない私は、満足に反論することさえ出来ないのだ。 そんなのはふざけている。 「私は!」 心の中に真っ黒な塊が炎となって燃え上げる、血が沁みた杖を力任せに握る。 「 ゼロ なんかじゃ!」 ヤケクソとばかりに杖を振った。 世界全てが爆発してしまえとばかりに、残った力全てを込めて。 「ない!」 詠唱も、ルーンも、まるで滅茶苦茶な言葉を叩きつける。 晴れ渡った空へ向かって、その向こうにいる残酷な「運命」と言うものを定めてた誰かに向かって。 でもきっとこの時の私は、そんな小難しいことなんて考えていなかったように思う。 どうせ爆発させることしか出来ないのなら、いっそすべて吹き飛んでしまえ。 そんな風に思っていたように思うのだ。 そしてやっぱり私はいつも通り特大の爆発を生み出し…… もうもうと立ち上がる爆煙の向こうから、私の絶望を切り裂くように『彼』は現れた。 この時のことを私は絶対に忘れないだろう。 絶対に、死んだって忘れるもんか。 もうもうとあがる土煙の向こうに見え隠れするのは、見上げるような巨獣の体躯だった。 暫く呆然として、ゆっくりと頭のなかに理解が追いついてくると、心の中一杯に歓喜が満ち溢れた。 成功したのだ、やっとやっと成功することが出来たのだ。 周囲のざわめきも耳に入らず、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら、ルイズはその巨体に向けて駆け出した。 近くで見ると一段と大きい夜を押し込めたような漆黒の体躯。 血で染めたような深紅の瞳。 額に生えた山羊のような雄雄しい角。 それは巨大な竜だった、ただその存在だけで他の獣を圧倒する魔獣の王であった。 タバサと呼ばれた少女が召喚した風竜より一回りも二回りも大きい、大当たりだ、やはり自分にはこんな神聖で強大で美しい使い魔こそが相応しかったのだ。 “まさか、そんな、何かの間違いだ” “ゼロのルイズがドラゴンだなんて” “インチキだ! こんなことあるはずが無い” 周りの者たちの言葉さえ今のルイズには自分を祝福するファンファーレのように聞こえた、こんな使い魔を召喚したのだもう“ゼロ”などとは言わせない…… そんな思考もろともルイズの体は凍り付いた。 幾つもの弾痕が刻まれ引き裂かれた翼。 今にも途絶えそうな弱々しい吐息。 体中に刻まれた幾多の傷から流れ出る血潮。 それは幻獣・魔獣の跋扈するこのハルケギニアに於いてすら恐らく比するモノなき魔獣の王であった。 『魔王竜』 かつてハルケギニアから遠く離れた世界で、「暴虐」と「理不尽」とそして「絶対の死」の代名詞として使われた存在だ。 その口から数千度にも及ぶ炎を吐き、角の一振りで落雷にも匹敵する稲妻を降らせ、その巨体でおおよそ地上に存在するどのような鳥よりも速く空を舞い、そして人語を解し、しかし好んで人を食らう。 勿論ルイズはそのようなことを知らない、だがその秘めたる力の一端はただ一目見るだけ誰もが理解する。 ただ其処にあるだけでその肉体そのものが他者を威圧するのだ、それは見るものの意思に関わりが無い。 大いなる存在を前にして人がひれ伏さずには居られないように、理由はないのかもしれない。 ともかくそのような存在を使い魔として呼び出したとしては、とんでもない程のメイジになる可能性があるに違いない――普通はそう考える。 メイジの実力を見るにはその使い魔を見よ、と言う格言がある。それは使い魔の力がすなわちそれを御すことの出来る主の実力であるからだ。 ――ならば果たして、もしその呼び出したドラゴンが死にかけていたとするならば? 煙が晴れ、やがて周囲の者たちも状況を理解した。 ルイズが呼び出した黒いドラゴン、それはもう虫の息であとどれほども経たないうちに息を引き取るであろうことに。 だがそうと理解しても彼らは何も言わなかった、言えなかった。 違いない、娯楽程度に家柄だけが優れた劣等生を小馬鹿にする程度の気持ちでルイズのことを“ゼロ”と呼んでいたような連中には、目の前の死に掛けた巨獣の姿は刺激が強すぎた。 どうすればいいのか分からないまま立ち尽くす彼ら、そんな彼らを尻目に真っ先に動いたのはやはり血の匂いを一番嗅ぎ慣れた人物に他ならない。 「まだ息がある、手当てをすれば助かるかもしれません」 そう言ってコルベールは比較的落ち着いた生徒達に指示を出すと、当直の水のメイジを呼びに渾身の“フライ”で舞い上がる、彼が去り後に残されたのは呆然と立ち尽くすルイズとそのクラスメイトたち。 「ドッ、ドラゴンを召喚した時には驚いたけど、そんな死にかけを呼び出してどうするつもりなんだ?」 クラスメイトのなかの一人が突然そんな風に声を上げたのは、痛いくらいに突き刺さる沈黙に耐えられなかったから。 彼とてルイズのことをクラスメイトの一人として気に掛けていた、なぜなら彼女だけが彼の言葉にまともに反応を返してくれる同年代の女の子だからだ。 だからこんな風に憎まれ口を叩いてしまう、その後に返ってくるムキになった否定の言葉が聞きたくて。 ――でも彼にだってわかっていたのだ、いくらなんでも今だけはなんとかして励ましてやらねばならないと。 それでも何を言えば分からなくて、なんとか何かを言おうとして……結局口から出てきたのは何時も通りのそんな酷い言葉だけ。 「やっぱり“ゼロ”じゃないか!」 その言葉にルイズが振り向いた。 僅かに俯いているせいで長い桃色のブロンドが影となってその表情は伺えない。 果たしてルイズはどんな顔をしているのか? 自分であれほどのことを言っておいて彼にはそれがたまらなく恐ろしかった。 だが次のルイズの行動はあまりにも周囲の予想を裏切っていた。 「お願い、します」 頭を下げたのだ。 ルイズが、まるで体中がプライドで出来ているようなあの誇り高いヴァリエールの娘が…… 眼を丸くする周囲をよそにルイズはなおも言い募る。 「私の使い魔を、助け――っ! 助けて、く、ください」 その言葉がたどたどしいのは血が滴り落ちるほど唇を強く噛み締めているせい。 ルイズは、死にたくなるほど屈辱に耐えながら頭を下げたのだ。 目の前の大切なものを守るために。 ○月△日 同級生たちに借金してまで水の秘薬を買い漁った、あの日から一睡もせずに看病を続けている。 それでもまだ私の使い魔は目を覚まさない。 コルベール先生に、覚悟だけはしておきなさいと言われた。 嫌だ、せっかくこの子は私の呼びかけに応えてくれたのに。 こんな傷だらけになりながらも ゼロ の呼び声に応えてくれたのに。 こんなところでお別れなんて絶対に嫌だった。 元気になったらあれもしてあげよう、これもしてあげよう、そんなことばかり頭をよぎる。 今更他の使い魔なんて呼ぶ気になれない、絶対助けるんだって決意の証。 その唇にそっと口づけ…… 胸に走る痛みにスピノザは目を覚ました。 ぼんやりとする頭で周囲を見回すと、見慣れない桃色の髪の少女が自分に取りすがって泣いていた。 状況が分からず、スピノザはおたおたする。 確か、自分はバートラントの戦車部隊からエチカ達を守って死んだ筈ではなかったか? 何故この場所にいるのか、目の前の少女は誰なのか、とりあえず手っ取り早く目の前の少女に聞いてみることにした。 「ええと、ごめん君は誰かな?」 少女の泣き声が一層激しくなる、スピノザの困惑が一層激しくなる。 少女は震える声で「馬鹿馬鹿っ……」とか「こんなにご主人様を心配させて……」とか言っていたがやがて自分の名前を名乗った。 ハルケゲニア、トリステインが貴族ヴァリエール家が三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと。 泣きじゃくり、自分の体に取りすがるその姿はどこかエチカに似ているな。 スピノザはそんなな風に思った。 ○月□日 呼び出したドラゴンが元気になった、しかもドラゴンは韻竜だった! 喜ぶ私に向かってドラゴンは戦車部隊がどうの、エチカはどうなっただの聞いてきた? 何それ? と言うか私がどれだけ心配したと思ってるの? この馬鹿竜! 呆気に取られる私を前にドラゴンはちょっと周辺を見てくると言い置いて空を飛んでいった。 ちょっと!? まだ傷が治ったばかりなのに何無茶なことやってるのよ!? もう、帰ってきたらご飯抜きなんだからね! で、でも「ご主人様」って呼ぶなら特別にお父様にお願いして霜降りのロマリア牛を取り寄せてあげてもいいかも…… 見覚えのない街と、見知った場所のない地形。 何より見上げる空に浮かぶ月が二つ。 それが何よりも雄弁にこの世界が今まで居た世界と違うことを物語っていた。 使い魔をやることは問題はない、ルイズが召喚してくれなかったらおそらく自分はあの場でで息絶えていただろう。 どうせ長くても百年だ、あまりにも長い寿命を持つ竜からすればちょっとした午睡程度の時間でしかない。 それに何より竜である自分を恐れることなく接してくれる相手はとても貴重だったから。 ――しかしながら心配ごとが一つ。 「エチカは大丈夫、かな……」 スピノザの心中に沸き上がるその気持ち、どこまでも闊達で優しくてそして何よりもスピノザのことを求めてくれた少女のこと。 スピノザを恐れることなく付き合ってくれた、勇者の代理人。 アタラクシアは大丈夫だろう、なんだかんだ言って彼女は強い。きっと自分の死を受け入れて生きていくことが出来る。 だが自分は傷だらけの状態の召喚されたと聞いた。 それならば、意識が途切れる寸前まで自分に取りすがって泣いていたエチカはきっと物凄く心配していると思うのだ。 あの優しい優しい金髪の娘は…… スピノザの心に郷愁が過ぎる、二人で会って他愛ない話をした日々が胸を掻き乱す。 彼女にもう一度会いたかった、会ってまた他愛ない話をしたかった。 「けど、多分無理なんだろうな……」 最強の魔竜は、ただ一人哀しく月に吠えた。 元の世界に残してきた、大切な友人のことを想って。 ○月◇日 ドラゴンの名前はスピノザって言うらしい。 種別は魔王竜? 魔王竜って何よ? って聞き返したら変な顔をして喜んでた。 やっぱり変な奴だ。 とりあえずご主人様との壁を教えるために貧相な餌を出したらつまみにちょうどいいって言われた。 え、なに? 生でも気にしない? ちょっと、あんた待ちなさいよご主人様を!? ひぃぃぃぃぃ!? なま暖かい舌がべろんって…… 「やりすぎたかな……」 気を失ったルイズを前にしてスピノザはぽりぽりと頭を掻いた。 冗談のつもりだったのだが、思ったより彼のご主人様は気が弱いらしい。 もっとも腕ほどもありそうな牙を突きつけられ、丸太ほどもある蜥蜴のようなざらついた舌で舐められることに耐えられる人間は決して多くないだろうが。 さてどうしようかと、とルイズを抱えてうろうろしているといきなり話しかけられた。 「きゅいきゅい、お仲間なのねー、いっぱいお話できるのねー」 「あ、どうも。こんにちは」 自分に話しかけてきた蒼いドラゴンは背中から一人の人影を下ろすと、嬉しそうに上空を旋回する。 蒼いドラゴンの主は無表情なその顔を僅かに歪めると、仕方なしと言った感じで自己紹介した。 「タバサ、この子はシルフィ」 「きゅいきゅい」 タバサの話によると仲間を見つけたと思ったシルフィが浮かれて思わず話しかけてしまったのだと言う。 「あなたも韻竜だとは……あなたの故郷ではともかくこのあたりでは韻竜は稀少」 「きゅいきゅい、バレたら面倒なことになるってお姉さまはシルフィに全然喋らせてくれないの! シルフィ欲求不満なのね!」 タバサははしゃぐシルフィードの頭をこつんと杖で一回小突くと、浅い溜息を一つ吐いた。 「とにかく無駄なトラブルを避けたいなら注意すべき――それと、もしよければ時々でいいのでこの子の話相手になってあげて欲しい!」 「きゅい!ほんとお姉さま、シルフィお話していいの!」 タバサはもう一度こつんとシルフィの頭を叩く。 「毎日は駄目……ばれない様に、ときどき……」 タバサは一度会釈すると、膨れっ面のシルフィードと共に去っていった。 その背中に一言「ありがとう」と言い、ふと、スピノザは腕を組んで考える。 「けどドラゴンって普通話せるものだと思うんだけどなぁ……」 暫し考えて、そしてポンと手を叩く。 「そっか、気がつかなかったけど、ルイズちゃんたちの国の言葉を無意識で使ってたんだ」 長い間ずっと一人で暮らしてきた変な竜の思いつきは、やっぱり何処かズレていた。 ×月○日 スピノザが自分はあまり喋らないほうがいいと言ってきた。 タバサから忠告されたらしい、そりゃそうだ韻竜だって知られたらえらいことになる。 けどさんざんサラマンダーのことを自慢してくるキュルケに対して自制心を発揮させるのは正直辛かった。 頑張った自分にご褒美をあげたい。 とりあえずスピノザに相応しいご主人様になるために頑張ろうと思った、いつまでも ゼロ のままじゃいられない――と頑張ろうとした矢先に教室が吹っ飛んだ。 気合を入れすぎたせいか机や黒板はおろか、壁や窓まで全部跡形もなし。 クラスメイトから『グラウンドゼロ』の二つ名を賜る――って、嬉しくもなんともないわよこんなもの! なによ、いつもみたいにちょっと失敗しただけじゃないの……私だって好きに失敗してるわけじゃない、のに。 落ち込んでいたら励まされた、僕だって落ち零れの魔王竜だ? うるさいうるさいうるさい! それって私も落ち零れってことじゃないの! ただでさえムシャクシャしているのに食堂の一件以来ギーシュが突っかかってきた、せっかく気を利かせて香水を拾ってやったのに酷い奴だ。 ゼロ だなんだと言われても放っておけばいい、そう思ったけれど、ただ一つだけ許せない悪口があった。 「あんまりにも駄目だから、使い魔に見限られたんじゃないのかい?」 ――うるさい! 「僕とヴェルダンテは決して断ち切ることは出来ない固い絆で結ばれているのさ、君とは違ってね」 ――うるさいうるさい! 「そもそも、『ゼロ』のルイズが召喚するような使い魔なんてろくな……」 ――うるさいうるさいうるさい! 「決闘よ!」 気づけば、私はそう叫んでしまっていた。 「きゅいきゅい、大変なのねー」 自家製のカップでシエスタに淹れて貰った紅茶を楽しんでいたスピノザの元に、シルフィが血相を変えて飛び込んできたのはその日の午後のことだった。 慌ててすっ飛んでいくと、そこには七体のワルキューレに囲まれながら杖を持つルイズの姿。 爪の一振りで襲い掛かるワルキューレからルイズを救った後、スピノザはギーシュに頭を下げた。 「悪いけど、急用を思い出したから!」 ぎゃーぎゃー喚く主人を抱えると、呆気に取られるギャラリーを残し、スピノザはルイズを抱きかかえて逃げだした。 再勝負を一週間後に控える使い魔品評会に約して。 ウインドブレイクのような衝撃波を残し、風のような速さで飛び去っていく。 呆れるキュルケ、呆れるタバサ、呆れるギャラリー。 そんななかで初恋の微熱が燃え上がっちゃったのが一匹。 「きゅいきゅい、スピノザさますっごく強いのねー」 結果から言えば、スピノザが一番苦労したのは。 懐いてくる幼竜の相手と、愚図る主人を宥めることだった。 ×月△日 学院に土くれのフーケが盗みに入ったらしい。 もっとも私達は使い魔品評会に向けての特訓で山籠もりしていたから詳しくは知らないのだが。 しかし先生達は何をしていたんだろう? ミス・ロングビルがフーケの居場所を見つけてきたと言うのに一人も追撃隊に手を挙げずみすみすフーケを取り逃がすなんて。 私がいたなら絶対フーケを捕縛隊に志願したのに、悔しい。 『どらごん殺し』の秘宝が盗まれたとか。 そして山籠もりして分かった、スピノザは凄い奴だ。 もっとも平和主義者だから絶対に戦いの為にその力を使わないらしい。 なんて無駄な……と思ったけど私は文句は言わなかった。 それがスピノザの誇りだと分かったから、優しい魔竜になりたいとスピノザは言った。 ところでエチカって誰よ? ――ぎゃーぎゃー騒いでいたら剣の稽古に来たとか言うメイドに見つかった。 特訓は酸鼻を極めた。 主にルイズの吐瀉物的な意味で。 「次、いくよー」 「ば、ばっちこーい」 スピノザが大地を駆ける、ぐんぐんあがるスピードにルイズ悲鳴をあげる。 鞍に跨りながら必死で手綱を握る、滑空のために加速しているだけだと言うのに今にも吹き飛ばされてしまいそう。 炎の吐息、雷の乱舞、雷の隠れ蓑、色々検証した結果優勝を狙うにはライバルであるシルフィの飛翔に打ち勝つのが最良であると判断した。 そしてスピノザはそれに勝てる飛翔が出来る、二人はそう判断した。 ついでにシルフィも、あれにはさすがに勝てないきゅいきゅいと白旗を振った。 だが使い魔品評会は使い魔と主人が一組になって行う競技によって決する、如何にスピノザが速く飛べてもルイズがそれに耐えられなければ意味がない。 そのためにこの一流の竜騎士〈ドラゴンライダー〉もかくやと言う特訓法が生まれた。 要はひたすらルイズがスピノザの速度に慣れ、それに耐えられるようにすると言う訓練である。 やることは簡単だ、気を失うまでスピノザの背で耐えるだけ。 最初はゆっくり、そして次第に速度を上げていき、やがては最高速度に。 レビテーションさえ使えないルイズは振り落とされれば命はない、それでもルイズは今まで体験したことないほどの酔いと疲労によく耐えた。 だがルイズの必死の努力に関わらずサイレントにより風防を施したタバサ&シルフィード組のほうがまだ速かった。 落ち込むルイズにスピノザは言った。 魔法には、魔法で対抗だと。 ジョゼフの手記-1 ○月×日 弟を謀殺し、玉座に着いてもこの胸の虚無は埋まらなかった。 だからゲームに没頭した、より強い相手を求め、戦い、そして勝利する。 ただ次の手をどうするべきか考えている間だけは、胸のうちの空虚を忘れられた。 だがそんなこといつまでも続けられる訳はない、私にはこう言う方面の才能はあったのかすぐ周囲に私と対等に指せる相手はいなくなった。 空虚だ、どこまでも空虚だった。 胸に開いた風穴は何時になっても埋まらず、吹き抜ける雪風が心を冷やしていく。 やがて何も感じなくなった。 望むのはただ対等な相手、私が私として戦うことの出来る相手だった。 それが現れるまで暇さえ潰せればそれでいい…… そのためオルレアン公派の者達を泳がせる、シャルルの娘、可愛い姪がいずれこの胸に懐剣を突きつけてくれることを夢見て地獄のような任務に送り込む。 それでも胸のうちに燻った燃え残りの炎は、ガリアの凍てついた冬のように冷たく私を燃やし続ける。 ――嗚呼、シャルルよ。お前は何故あの程度の刺客に殺されてしまったのか。 そんなある日、姪が使い魔を召喚したとの知らせが入ってきた。 姪が呼び出したのは鱗が蒼く煌めく風竜だと言う、さすが我が自慢の弟の娘だと一人笑った。 そうなると私からはいかな使い魔がでてくるのか? 興味が湧き過去何度も失敗したサモン・サーヴァントを詠唱してみた。 今度は一発で成功した。 出てきた使い魔を見て、私は爆笑した。 奇妙な服装をした平民の少年だったのである、平民程度がこの無能王ジョゼフには相応しい使い魔と言うことか。 そう思った私はその少年にコントラクトサーヴァントを行う。 以前適当な野生のドラゴンで試した時は失敗したから、今度は失敗しないようにねっとりじっくりと、舌まで入れて念入りに。 「な、何すんだ、おっさん!? うおぇぇぇぇぇえええ!?」 少年が、ゲロを吐いた。 ――王家の者の口づけをなんだと思っているのか、この少年は。 「お、おお、お父さま!?」 娘に見られた、凄く気まずい…… しかし顔を真っ赤にして走り去っていく娘の姿は存外に可愛いものだ。 そう思って笑っていると、配下の者に見られてしまった。 気まずい、すごく気まずい。 ごまかす為に少年の左手に刻まれたルーンが見たことのないものだったので、配下のものに調べさせることにした。 「あれがジョゼフの召喚した……」 「まさか本当に平民を……」 耳の端を掠める影口にサイトは眉を顰めた。 普段はおちゃらけているものの、或る程度は心根の真っ直ぐな少年である。 さんざん普段は媚びを売っておいて、見えないところで陰口を叩くと言う人間には我慢がならなかった。 「へぇ、あんたが父上の召喚した平民かい」 突然呼ばれて振り向いたサイト。 そこにはご立派なおでこがあった。 「へぇ……」 ご立派なおでこはサイトをじろじろと眺める、それはもう吐息の掛かりそうな距離である。 いくら相手がご立派なおでこといえど、年頃の女の子にこれほど距離を詰められたことのないサイトは思わず赤面した。 「やっぱりただの平民じゃないか! 父上も大したことないね!」 「へ?」 ご立派なおでこは「見てらっしゃい父上やガーゴイルより凄い使い魔を召喚してやるから!」と言いながらのしのしと王族とは思えない足取りで去っていった。 サイトは途方に暮れた。 その鼻先に残り甘い石鹸の匂い。 サイトは知らない。 彼に会う前にイザベラ様がいつもより念入りに体を洗っていたことを。 わざわざ偶然を装うために、二時間もサイトを探してグラン・トロワの宮殿をうろついていたこと。 ――このイザベラ様、平民に舐められるのは我慢できない。 だがしかしまだ見ぬ相手を想像して胸を高鳴らせたり、体を磨いたり、とっておきの香水を付けてみたり、挙句相手を待ち伏せたり。 その行動が周囲の人間にどう思われているかなど、案の定「自分に魔法の才能がないから従姉妹と比べられるんだ!」 と言うイザベラ様には全然気が付いていなかった。 数日後、ガリアの宮殿に広まる噂は「無能王が平民を召喚した」「無能王は両杖使い」から 「わがまま姫が略奪愛をしようとしている」に変わったのは、果たして幸か不幸か。 ○月△日 少年の手の刻まれたルーンは伝説のガンダールヴのルーンだった。 と言うことは、私は虚無の担い手と言うことになる。 ははー、そんなまさかと思って土のルビーと秘宝の香炉使ってみたら反応しやがったよコンチクショウ。 なんでもっと早く確かめなかったのか…… 「ははー、しょうがないだろ兄さん所詮兄さんなんだからさ」 頭のなかでシャルルのさわやかな笑顔が過ぎる、くそ、お前はいつもナチュラルに私を馬鹿にして。 お前の哀れむような目がどれだけ私を傷つけていたかわかるか! この誘いドSめ! この私が、私がどんな気持ちでお前のことを…… 悶々としていたら使い魔の少年に声を掛けられた、ええい五月蠅い――ってなんだそれは? パソコン? 異世界の技術? そこまで言うなら特別に見てやらないことも……って、すげぇ、○○○で×××で△△△だと!? 毎月大量のゲームがリリースされるうえに、回線を繋げれば世界中の猛者達と部屋にいながらにして勝負出来る!? うはっ、夢がひろがりんぐwww はっ、拙い、一瞬王族としての威厳が崩壊しそうになった。 しかしサイトの世界の技術は興味深い、配下に命じて調査させることにしよう。 アルビオンのクロムウェルが泣きついてきた? そんな奴知らん、無視無視。 いい暇つぶしのネタができたことに喜ぶ、配下の者たちに適当に暗躍させて暫く異世界の“科学”とやらに触れてみよう。 サイトはプチ・トロワの中庭で一人剣を振っていた。 サイトの身長よりも二倍もでかいおおざっぱな作りの大剣をぶるんぶるん音を立てて振る度に左手のルーンが輝き、そのたびにサイトは驚きの声を漏らす。 こんなでっかい剣を振ることが出来るなんて本当にガンダールヴ様々だ! 「暫く頑張ってみるか、ジョゼフって言う王様はひねくれてるけど悪い奴じゃないっぽいし……」 ぶるんともう一度剣を振るう。 刃の中心に填った蒼い宝石、無骨ななかに流麗さを秘めたこの剣はガリアの盗品市場に流れていたものだ。 出来は良いのになまくらと言う不思議な剣で、ゲームのなかの剣みたいだ! と言う理由でサイトが欲しがった為「か、勘違いするなよ、余のコレクションにするのだ。お前の為に買ってやる訳ではないのだからな」と現金一括でジョゼフが買い上げた。 「一度、こんな剣振ってみたかったんだよな!」 さすがサイト、お人好しである。 もっともサイトがこうして余裕を見せていられるのは、ジョゼフが元の世界の帰るのを是非協力させて貰いたい! と乗り気になっているからだ。 それほどサイトの世界の科学技術は魅力であったらしい。 「母ちゃん、心配してるだろうな……」 そう思って剣を置いた途端、巨大な竜の遠吠えと蛇に飲み込まれる蟾蜍の断末魔みたいな悲鳴が聞こえる。 慌てて剣を担いで向かった先に。 「ひぃ、うん……ひゃ、あっ、あっ、やめて、そこっ……ひんっ!?」 ――綺麗なイザベラ様がいた。 頬は真っ赤に染まり、口の端から涎が零れる、着ていた衣服はビリビリに破けておりかろうじてキワドイところだけが隠れていると言う状態。 その姿に普段の勝気さ、意地の悪さは微塵もない。 本来なら歓迎すべきであろう、イザベラ様が赤い竜の口の中でべろんべろんと飴玉のように舐られているのでなければ。 「やめぇ……離ひへぇ…………」 奇妙に鼻にかかった声に、サイトはゴクリと唾を飲み込んだ。 このイザベラ様、舐められているだけだと言うのに異常に扇情的である。 或いは、これこそが普段の姿に隠されたイザベラ様の真の魅力なのか!? 周囲の騎士達も状況が状況ゆえに手出しできずに顔を真っ赤にして、微妙に前屈みになって固まっている。 それは果たしてイザベラを人質に取られているせいかだろうか? ただイザベラ様のこそばゆい嬌声だけが響くなか、ドラゴンはゆっくりとイザベラ様の柔らかい乳房に牙を突き立てようとし…… 「お、お前。イ、イザベラをはっ、離せ!」 刹那、正気に戻ったサイトによって阻まれた。 サイトの左手のルーンと、右手に掲げた大剣が蒼い光を放つ。 その輝きにドラゴンは粟を食ったように慌ててイザベラを吐き捨てた。 「ぺっ」と言う食べかすでも吐くような音と共に、やたらと生臭くなったイザベラ様が涎塗れで吐き出される。 慌ててイザベラを抱き留めるサイトを一顧だにせず、真紅のドラゴンは一散にプチ・トロワの宮殿から逃げ出していいった。 「なんなんだ、一体……」 「ふぇぇぇ、サイト、サイト!」 王族の威厳も、普段築き上げた虚勢も何もかも放り捨ててサイトに抱き泣きじゃくるイザベラ様。 縋りついてくるイザベラをサイトも思わず抱き返す。 だが次の瞬間、イザベラ様は今更ながらに自分がほぼ全裸と言うことに気づき…… 「な、なな、何見てんだい!!」 猛烈なエルボーがサイトの顎に食い込む。 そのまま気を失ったサイトから服を奪い取り、イザベラ様は浴場へと走っていった。 「いくらなんでもデレが短すぎるって……」 そう呟いてサイトの言葉を理解できる者は、前屈みになった者たちのなかには誰もいなかった。 コルベールの手記 ヴァリエール嬢が召喚したドラゴンはどうやら韻竜だったようですな。 内密にしてくれと言われてるのも納得です、こんな素晴らしい使い魔アカデミーが放っておく訳ありませんからね! しかしヴァリエール嬢ならいつか必ずやると思ってました、努力はいつか必ず報われるものだと。 一人の少女が ゼロ と心無い中傷を浴び続け、それでも怠らなかった努力によって最高を使い魔を得た。それが自分が受け持った授業であったと言うのは教職にある者として心底嬉しいですぞ! しかし使い魔の胸に刻まれたルーン、あれは一体なんなのでしょうか? 見たことがないために色々資料を漁ってみましたが、一つも該当するルーンなし。 形として伝説のガンダールヴが一番似ていますが、しかしガンダールヴのルーンは神の左手の名の通り左手に刻まれるものの筈。ともかく要調査です。 しかもあのドラゴン君が私の蛇君の真価を分かってくれるとは! 本当にヴァリエール嬢は凄い使い魔を召喚したものです。 なんでも彼がもと居た場所には蛇君の技術が発展していて、馬なしに走る鉄の車や魔法なしに空を飛ぶ船があるのだとか。 特に蛇君の発展の基礎となった“蒸気機関”というものに興味が出ました、大まかな原理は教わったのでためしに作ってみることにしましょうか。 前ページ次ページゼロの英雄
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登録日:2012/03/22(日) 08 15 39 更新日:2023/02/21 Tue 19 28 26NEW! 所要時間:約 10 分で読めます ▽タグ一覧 FE FEヒーローズ FE主人公 FE無双 Lynn if もう一人の主人公 エクラ カムイ ギムレー クリス ダークプリンス ダークプリンセス ネタバレ項目 ファイアーエムブレム プレイヤーの分身 マイユニ マイユニット マムクート マーク ルフレ 一級フラグ建築士←老若男女問わず 佐藤聡美 大川透 島﨑信長 影の英雄 料理下手 新・紋章の謎 方向音痴 日野聡 暗夜王国 暗夜王族 沢城みゆき 烈火の剣 白夜王国 白夜王族 第七小隊 細谷佳正 覚醒 軍師 邪竜 鋼の味 騎士 『ファイアーエムブレム 新・紋章の謎〜光と影の英雄』『ファイアーエムブレム 覚醒』、 『ファイアーエムブレムif』に実装されたシステム。また、そのユニットについても説明する。 ※公式ではマイユニットとして扱われないが、合わせて語られる事の多い『ファイアーエムブレム 烈火の剣』の軍師、 『ファイアーエムブレム ヒーローズ』の召喚師、『ファイアーエムブレム 風花雪月』の主人公についても説明する。 【新・紋章の謎:クリス】 CV:日野聡(男)、Lynn(女)(FEヒーローズ) ゲーム開始時、プレイヤーはお馴染みアンナさんの質問から自分の分身となるキャラクターを作ることになる。 デフォルト名は男女ともに「クリス」だが、自由に変更が可能である。 次に、目元や髪型、髪の色、初期兵種をある程度選べる。 魔道士系にすると前日譚で詰む可能性もあるので、初回では物理職を選ぶのが無難。 最後に仕上げとして、マイユニットの過去・現在・未来を選ぶことになるのだが、 これは選んだ兵種ごとにマイユニットの成長率に大きく関わるので慎重に選ぼう。 特にルナティックだと、一切の妥協が許されない。 作中の主人公はあくまでマルスだが、マイユニットは「もう一人の」主人公といった所。 サブタイトルにもある「影の英雄」は、マイユニットのことを指しているとも言える。 詳しくは個別項目を参照。 【覚醒:ルフレ】 本作では「プレイヤーの分身」であると同時に、「クロムと対をなすもう一人の主人公」として扱われている。 行き倒れ登場、軍師というポジション、フードを被ったビジュアル、「神軍師」のクラスなど、『烈火の剣』の軍師を思わせる要素が多い。 更にDLC内の選択肢では、実際に烈火軍師と同一人物とする事もできる。 男女、身長を高中低3種類、顔5種類、髪5種類、髪色20種類、 口調5種類からキャラメイクし、名前、誕生日、得意なステータス、苦手なステータスを決める。 初期クラスは「戦術師」固定だが、異性用のクラス、踊り子等の専用クラスを除いたすべてのクラスに転職可能。 デフォルト名は「ルフレ」。名前の変更は自由。男性なら設定した口調によっては細谷佳正氏、大川透氏、沢城みゆき氏のいずれかの声になる。 一方女性側は沢城みゆき氏が一人で全部を演じ分けている。 逆にセリフもボイスもなくなる「無口」設定も可能。 これらのカスタマイズ要素の影響で、ムービー中は顔が見えない主観視点でセリフもない状態になっている。 外部作品への出演時は、男女共に初期設定のまま作成されたビジュアル、性格で登場し、CVは男性は細谷氏、女性は沢城氏に固定されている。 記憶喪失になって倒れていた所をクロム達と出会う。 何故かクロムの名を知っていたり、戦に関する知識が豊富だったりと不審な点が目立ちフレデリクには怪しまれるものの、 村を守る為にクロム達と一緒に戦ったことで、その才能と人間性を認められ、軍師として同行することになる。 ちなみに今作には「敵の能力を把握できるのは彼(彼女)の能力のおかげ」という設定がある。つまり、千里眼の様な力を持っていることになる。 性格に関しては性別と口調によってセリフの端々が変化するものの、ほとんど共通。 思ったことがすぐ口に出るタイプでツッコミにまわる場面も多いが、記憶喪失故のボケをぶちかますこともある。 明確に料理が苦手とされており、やっぱり鋼の味を作り上げる。酷く不安定なだけで上手くいく時もあるようだ。 そして、今作目玉の結婚システムでは実子のマークを除く自軍の異性キャラと結婚が可能である。 マイユニでしか結婚できない相手もいる。しかも親世代でありながら子世代とまで結婚できる。 更に、結婚相手以外にも仲間全員と支援はAまでなら組める。 もはや一級フラグ建築士ってレベルじゃねーぞ!(これはマイユニに限った話ではないが) どちらの性別でも固有の子供としてマークを持つため、子世代相手の子供、つまり孫世代を作り出すことができる。 ただしこの場合はマイユニット由来の転職の広さと戦術師クラスをマークにしか継承できなくなる(女性でクロム以外と結ばれた場合も同様)。 これを損と見るかは微妙なところだが、孫マークは親の補正を2世代分受けるため能力の理論値は最強。 【if カムイ】 CV:島﨑信長or佐藤聡美 本作では、単独で主人公を務める。 デフォルト名は「カムイ」。『外伝』及び『Echoes』にも同名のキャラがいるが別人。 白夜王国の王子(王女)でありながら、暗夜王国に拉致され育てられていた。 戦乱に向かう両国に挟まれた彼(彼女)は何を選択するのか、それはプレイヤー(の買ったバージョン)にゆだねられる。 感情が昂ぶると竜に変身する。強大な一方、力を行使するたびに人でなくなっていくため、力を抑えるため竜石に力を封印する。 幽閉状態で育てられたのもあって、並のFE主人公以上の世間知らずな甘ちゃんで、戦いの上では必要最低限の犠牲すらも拒むほどナイーブ。 白夜王国・暗夜王国どちらの「きょうだい」からも(白夜王国の弟・タクミを除けば)好かれており、特に両国の姉からは溺愛レベルで可愛がられている。 そのため白夜・暗夜どのルートでも必ずと言っていいほど敵国の兄と姉がカムイに向かって、自分の側に帰って来いと諭してくるまでがテンプレ。 最初から何にでもなれたルフレとは異なり、パラレルプルフを使ったクラスチェンジではメイク時に選択したクラス系統にしかなれない。 代わりに、今回導入された「バディプルフ」を使って「支援Aになった相手の持つメインクラス」にクラスチェンジする事ができる。 この仕様は主人公特権であり、他の仲間は「A+」になった相手一人分、あるいは結婚相手の分(マリッジプルフ)しか得られない。 また、その代償として竜の力を持っていることから主人公としては異例の竜特効を食らう側という弱点を抱えている。種族特効のためどうやっても消すことができず、子供にも遺伝する。 ちなみにシャラによると、カムイ→クリス→ルフレと生まれ変わる未来が見えるそうで、 歴代マイユニットが同じ魂(プレイヤー)で繋がっている事が示唆されている。 その他、マイユニットと同列に扱われる事もある「プレイヤーの分身」 【烈火の剣 マーク】 シリーズ初の「プレイヤーの分身」であり、マイユニットシステムの原型とも言えるキャラクター。 「マーク」はデフォルト名で好きな名前に変更することができる。 ※ルフレの子・マークの名前はこのデフォルト名から取られている その他、性別・誕生日・血液型が設定でき、誕生日と血液型で属性が決まる(同属性のユニットの命中率・回避率を少し上昇させることができる)。 作中では軍師としてキャラクターたちに指示を出すが、戦闘力はないのか戦闘参加はしない。 ユニットではないため支援システムからもハブられており、どうやっても結婚はできない。 後のマイユニット達とは違い口調選択が無く完全に無口、シナリオ内でバックボーンを語られる事もないので、 性格付けは全てプレイヤーの想像に委ねられている……のだが、後に外部出演したリンによると 「とてつもなく無口で、戦場では喋らず以心伝心で指示を伝えていた」と、もはや超能力レベルの設定が付与されたりしている。 現在の所外部出演はないものの上の様にリンから存在を言及される事が多々あり、場合によってはルフレと同一人物になったり、 後述のエクラと同一人物になったり、クリス・ルフレ・カムイ生まれ変わり説と合わせると、中々複雑なことになる。 【ヒーローズ エクラ】 『ヒーローズ』のプレイヤーの分身。 「エクラ」はデフォルト名で変更可能。設定した名前がプレイヤーのアカウント名になる。 外見は覚醒のルフレの様に、目深にフードを被っており、性別や顔立ちが隠されている。 また前述のマーク同様一切言葉を発さない「無口」タイプな人間であり、『ヒーローズ』で唯一CVが設定されていない。 なお、公式4コマでは普通に喋っている。 窮地に陥ったアスク王国が「『英雄を召喚する召喚師』を召喚する儀式」によって召喚……と、微妙にややこしい経緯で戦乱に巻き込まれた。 元々住んでいた世界はいくつかの台詞から現代と思われ、他のマイユニット達とは違い異世界召喚物の主人公の様な立ち位置になる。 神器『ブレイザブリク』によって、歴代作品の登場人物を「英雄」として召喚して仲間にする事ができる。 【風花雪月 ベレト/ベレス】 CV.小林裕介(ベレト)/伊藤静(ベレス) 風花雪月の主人公。名前、性別、誕生日が設定可能だが、マイユニットと違い髪型、顔立ち、口調の設定は出来ず、得意な技能や能力の成長率も固定。 役回りとしてはマイユニット同然だが、このあたりを踏まえてか、公式には「プレイヤーの分身」とはされるもののマイユニットという表現は用いられない。 デフォルト名は男性が「ベレト」、女性が「ベレス」で、プレイヤーの分身キャラとしては、はじめて男女でデフォルト名が異なっている。 見た目的には、深い緑の髪が特徴的な落ち着いた青年(女性)。 外見が固定されているため、ルフレやカムイと違いアニメムービーにも顔出しで登場する。 父・ジェラルトの元で傭兵生活を送っていたが、ある日盗賊に襲われる若者たちに遭遇。 見事救出した所、彼らが世界を三分する勢力の後継者たちである事が判明する。 彼らを救出した功績を認められた主人公は、彼らをはじめとする各国要人の子息が学ぶ士官学校を有する「ガルグ=マク大修道院」に教師として招かれる事になった(*1)。 学び舎で自らの学級を導き、学生たちも互いに絆を深めていくが、5年後の戦争編では共に時間を過ごした生徒たちが各々の国家の率いて敵対することになってしまう。 自身の脳内に直接語り掛けてくる謎の少女・ソティスの力により時間を巻き戻す能力を得る、 謎の紋章を宿し長年扱える者のいなかった英雄の遺産である「天帝の剣」を操る事が出来る、 父親と共に生活しながらも自身の年齢すらもあやふやであるなど、主人公自身も謎の多い人物である。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 愚痴が多くなってきたので、リセットしました。 -- 名無しさん (2022-08-03 16 57 32) ここ最近のシリーズ展開を見るに、「プレイヤー自身が主人公として物語に関与する」というのも1つの路線として定着してきたと言えるだろうか? これはこれで、マイユニットシステムとはまた意義が違うだろうけれど。 -- 名無しさん (2023-02-21 19 28 26) 名前 コメント
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【あ】 +あずまんが大王 あずまんが大王 美浜ちよ 春日歩 春日歩(私服) 滝野智 水原暦 榊 神楽 かおり 谷崎ゆかり 黒沢みなも 木村夫妻 ちよ父 その他 複数 連作 暗殺教室 【い】 +苺ましまろ 苺ましまろ 伊藤伸恵 伊藤千佳 松岡美羽 桜木茉莉 アナ・コッポラ 複数 【う】 +うたわれるもの うたわれるもの ハクオロ エルルゥ アルルゥ オボロ、ドリィ、グラァ カミュ、ウルトリィ ユズハ カルラ トウカ サクヤ、クーヤ 複数 その他 【え】 エンジュメイデン 【お】 +桜蘭高校ホスト部 桜蘭高校ホスト部 藤岡ハルヒ ホスト部 その他 +狼と香辛料 狼と香辛料 ホロ クラフト・ロレンス その他 +おおきく振りかぶって おおきく振りかぶって 三橋廉 阿部隆也 田島悠一郎 花井梓 水谷文貴 巣山尚治 泉孝介 百枝まりあ 榛名元希 叶修悟 その他 +おとぎ銃士赤ずきん おとぎ銃士赤ずきん 赤ずきん 白雪姫 いばら姫 グレーテル 木ノ下りんご 複数 その他 連作